2014/12/20

指板の加工・取付



ヴァイオリンのボディが完成してから早や4ヶ月、忙しくてなかなか手をつけられなかったのですが、ここからはパーツや消耗品の取付が始まります。
まずは指板の取付です。


加工前の指板


加工前の指板は一目見た感じではそのまま使えそうですが、実際には数ミリ大きいので、これを楽器に合わせて削らなければいけません。

この削る作業が結構シビアなのです。

①底面はネック材にピッタリ合うよう平面にする。
②全長を270mmにする。
③幅もネックのテーパー形状に合うように削る。(接着してから一緒に削るので、ここは大体でOK)
④上面の半径を42mmに揃える。かつ、横面の厚さを5.5mm程度に調整する。
⑤なおかつ上面の長さ方向も直線ではなく、中央部で1mm程度凹むように削る。
⑥裏面の接着しない部分を彫り込む。

このように単なる黒い板のように見えて意外ときっちり決まっているのです。それに指板の材料である黒檀は非常に硬く、それでいて脆い材質なのであまり一気にガシガシ削ろうとすると端が欠けてしまう恐れがあります。



なんとか加工して、最後にリンシードオイルとペーパーで研磨しました。オイルは裏の接着面に付かないように注意。付くと膠が染み込まなくなります。

加工後の指板

裏面の彫り込み



そしてネックに指板を接着します。接着にはヴァイオリンの他の部位と同様に膠を用います。膠の種類にもよると思いますが、私は表板の接着の時より若干濃いめに溶いた膠を使いました。

黒檀は膠が染み込みにくいので両面2度塗りして貼り合わせます。横から膠がはみ出てきますがこれは完全に乾けば簡単に取り除けるので触れない方がいいでしょう。


ちなみに貼り付け位置ですが、ナットを付けていないのでネックの先端6mmは空けています。


貼り合わせたらしっかりとクランプして半日程度乾かします。

クランプ風景① ネック先端部がナットのスペース

クランプ風景②

しっかりと接着できたら、境目をスクレイパーを使って均すように削ります。これによってはみ出て固まった膠を落とすのと同時に、微妙な寸法差によるネックと指板の段差を無くします。

スクレーパーで段差を削る
最後に境目を中心にリンシードオイルで磨きをかけます。こうすることで演奏中の手汗が染み込みにくくなり指板の剥がれを防ぎます。シェラックや通常のカバーニスを塗布する場合もあるようです。



今回の作業でだいぶヴァイオリンの雰囲気が出てきました。



道具・材料リスト

指板・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4000円
スクレーパー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・500円
彫刻刀・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1000円
サンドペーパー・・・・・・・・・・・・・・・・・・100円
膠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・500円
リンシードオイル・・・・・・・・・・・・・・・・1200円






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