パーツ交換の中では比較的ハードルは低いでしょうか。
今までコルクシートを張り替えたり、金具を交換したりしてきましたが、ここで思い切ってあご当てごと交換してみることにしました。
今まで使っていたのはカウフマン型で材質はエボニー(黒檀)、新しく取り付けるのはガルネリ型で材質はテールピースと同じローズウッドとなります。
さらに金具の種類も通常タイプからHillタイプに変更になります。
このあご当て交換で期待しているのは、取付位置と重量が変わることによる振動特性の変化です。すなわちガルネリ型は取付位置がセンターになるのですが、この位置はちょうどヴァイオリン内部にブロックがある場所でして元々板が大きく振動しないところなのです。センターで固定することによって楽器の振動を妨げにくくなり、よく鳴るようになる(推論)ということです。
まずはエボニーのあご当てをレンチを使って取り外します。数ヶ月前に貼り換えたばかりのコルクシートですので、本体にこびりついているということもなくすんなり外れました。
次に、新しいローズウッドのあご当てを仮置きします。
やはり表板の曲面には合っていなかったのでコルクを削る必要がありました。
細いヤスリを使ってコルクを削ります。
コンマ数ミリを削っては合わせ削っては合わせで結構細かい作業です。
ようやく面が合ったので本取付です。ヒルタイプの金具ですので左右独立しています。
足が斜めを向かないように修正しながら締めていきます。
そして回せるところまで手で回して最後の一締めだけレンチを使います。締め付けすぎてしまうと折角コルクを念入りに削った意味が無くなってしまいますし、最悪の場合ヴァイオリン本体が歪んだりヒビが入ることにもなりかねません。
とは言っても、専用のあご当てレンチを使う分にはそれほど神経質にならなくてもよいと思います。注意すべきはドライバーや千枚通しなど柄の長い工具で締める場合です。柄が長いということは、てこの原理でそれだけ力が加わりやすいということなのです。
あご当てがテールピースに接触していないか確認します。
どうしても接触してしまう場合はあご当てを削る必要がありますが、ご覧の通りかなり余裕があります。
そしてセッティング完了。こちらは交換前のカウフマン型。
そしてこちらが交換後のガルネリ型にヒルタイプの金具です。
こうして比べてみると形状や高さの違いが一目瞭然ですね。実際に構えてみると今までより高さがあって持ちやすくなりました。持ちやすくずり落ちてこないということは、間接的にではありますが音がそれだけ良くなるということです。記事冒頭で固定位置による振動特性の変化云々と言いましたが、あご当て選びの本質は「持ちやすさ」です。どんなに楽器自体の振動特性が良好でも持ちにくく演奏しにくければ何の意味もありません。
さて、今回の作業はここまで。テールピースとあご当てが同じローズウッド素材で揃いました。
次回はペグの交換です。
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