2013/06/22

ヴァイオリンを磨く


「磨く」などと題してしまいましたが、ヴァイオリンは磨くものではありません。
 しかし、ヴァイオリンを弾いた後にきれいに維持することは楽器の健康上とても大切なことです。





拭き取り用の布は2枚使う

ヴァイオリンが汚れる原因は大きく分けて2種類あります。

まず1つ目は松脂の粉です。
松脂の粘り気や堅さで多少は違いますが、ヴァイオリンを弾くと弦の下にうっすらと白い粉が積もりますね。また弦にも白い粉が固まった状態でこびり付くと思います。これは弾いた直後であれば簡単に拭き取ることができますが、時間が経つと固まってこびり付いてしまいます。

①弦
松脂の種類によっては弾いた直後でも頑固にこびり付いていますが、乾拭きで充分取れるレベルですので根気良く拭き取りましょう。経験上、あまり力を入れずに布と指の重さだけで軽くこするようにするとキーキー音も鳴りませんし綺麗に拭き取れる気がします。

②表板
多くの人はここが汚れるのが一番嫌だと思います。最初に拭きたいところですが、弦を拭くと新たな粉が落ちてきて二度手間になってしまいます。指板の下やC部の近くも意外と積もっているので忘れずに拭き取りましょう。

③指板
ここも松脂の粉が目立つところです。拭き残しがあると固いワックス状になってこびり付きます。上面はもちろんのこと端面や側面など縦になっている面も拭くようにしましょう。



もう1つは汗や手垢など人が触ることで付く汚れです。

④弦
指が触れる部分ですので汗が付きますし、弦の裏側に手垢がこびり付いていたりします。放っておくとスチールのE線などはあっという間に錆びてしまいます。上から拭くだけでなく、弦に布を巻きつけるようにして拭くと裏側まできれいになります。

⑤ネック、肩
常に触れているところなので当然汚れます。塗装が剥がれて白木が露出してくると汗が染み込んで黒い汚れが沈着します。

⑥指板
黒いので目立ちにくいですが、手垢による汚れが蓄積していきます。


このようにヴァイオリンに付く汚れは2種類ありますので、「松脂がネックに付く」「汗や脂が弦を介して弓に付く」といったことを避けるためにも、ヴァイオリンを拭くための布は「松脂用」と「汗・手垢用」の2枚を使い分けるのがいいでしょう。
拭く箇所で布を使い分ける



落としにくい松脂汚れには

毎回拭いていても駒周辺は次第に松脂がこびりついてきて、艶のあった表板が曇ってきます。
このような時、専用のクリーナーを使って磨くのもいいですが、私のお勧めはオリーブオイルです。綺麗な布にほんの少し含ませて松脂で汚れている箇所を軽く拭いてください。松脂は油に溶ける性質があるので曇った程度の松脂汚れであれば簡単に拭き取ることができます。

ただし、この方法を行うに当たって注意点がいくつかあります。

・駒に油を付けない
駒はニスでコーティングされていないので、油が付くと染み込んでしまいそこに汚れが付着する原因となります。

・ニスの剥げた白木部分に油を付けない
こちらも駒と同様です。駒は最悪でも交換できますが、本体はそういうわけにはいかないので注意してください。

・油が残らないようしっかり乾拭きする
ニスには様々な樹脂・顔料・染料が含まれており、常温のオリーブオイルで溶出する可能性が無いとは言い切れません。



絶対に使ってはいけないもの

オイルやクリーナー液で落とせないからと言って、以下のような物を使用してはいけません。汚れどころかニスごと拭き取ることになってしまいます。

・弦楽器用以外の研磨剤
・アルコール
・ウェットティッシュ
・その他の有機溶剤(ベンジン等)






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