2013/05/01

ヴァイオリン ペグ交換


IVC購入品の最後のパーツはペグです。


こちらもテールピースやあご当てと同じローズウッド製です。


ペグというのはテールピースやあご当てと比べると音に寄与する度合いははるかに小さいですが、交換作業にはそれらとは比べ物にならない精密さが求められます。







交換作業は1本ずつ行います。まずはE線。


エボニーのペグを取り外して可変式ペグシェーバーにセットします。
この状態でシェーバーのテーパー角と太さを合わせます。ペグに傷を付けないように慎重に取り出します。


ローズウッドのペグをシェーバーに差し込んで作業開始です。削る要領としては鉛筆削りと同じなのですが、鉛筆の素材より遥かに硬いですし、ローズウッドは材質も均質ではないので削るのにはちょっとしたコツが必要です。
ある程度削ったらこまめに本体と合わせてみます。ひょっとしたらテーパーがずれているかも知れないですし、削りすぎていたら戻すことはできないですからね。
ペグボックスからリングまでの長さが11mm程度になるのが標準のようですので、12mmで一旦ストップ。目の細かいペーパー(1500番)で軸を磨きました。あとは使用しながら自然に面が合って引っ込むのでこのくらいでいいでしょう。



反対側に突き出た軸に鉛筆を当てペグをぐるっと1周回します。
ここから先の部分はいらないのでカットしてしまいます。


なるべくきれいに仕上げたいのでヤスリ等で角を面取りしました。



再び本体にセットします。1~2mm程度凹んでいればほぼ適正と見ていいでしょう。


そして弦を通す穴あけです。直径1.3~1.5mm程度の穴をドリルを使って開けます。
この穴が狭いと弦を通しにくいですし、大きく開けてしまうと弦を巻く時に穴からスルリと抜けてしまいます。
ちなみに穴を開ける位置は、本体にセットした時にペグボックスの中心より1mm外側(ツマミ側)が丁度いいようです。


最後にペグボックスに触れる面にHillのペグ・コンポジションを塗って完成です。
この作業をあと3本繰り返します。

ちなみに最初にE線から取り掛かったのは、もしペグのテーパーが合わない等により不具合が生じても実際の使用上はアジャスターでカバーできるからです。



さて、これで一連のパーツ交換作業は終了です。
相変わらず写真ではよくわかりませんが大分見た目の雰囲気が変わりました。

一連のパーツ交換作業を終えて肝心の音ですが、まず音量は確実に大きくなりました。やはりガルネリ型あご当てのセンターマウントが功を奏したものと思われます。また、気のせいか全体的に音が柔らかくなった気がします。駒を交換した時は楽器のキャラクターは変わりませんでしたが、フィッティング類を全交換すると変わりますね。楽器によってそれがいい方向か悪い方向かは単一の物差しで計ることはできませんが、私の楽器にとっては良い結果が得られたと思います。




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