2015/05/23

ナット・サドルの取付



指板に続いてナットの取付を行います。指板取付の時に余らせていた6mmのスペースに取りつけます。



ナットも指板と同様にある程度の大きさ形まで作られているだけなので、最終寸法まで仕上げて溝切りしなければいけません。


まずは指板の端面とネックの平面に合うようにサンドペーパーで加工します。





次に上面のアーチ部分を指板からの高さが0.5mmになるように削ります。ネックに仮合わせした状態で0.5mmのシャーペンでけがき線を描くと容易に0.5mmの位置が掴めます。

削る前は5ミリぐらい飛び出てます


削った後




ペグ側の角はペグに向かってなだらかなカーブを描くように加工します。このとき、中央部の弦(A線、D線)と比べて両端の弦(E線、G線)はペグがナットの近くに位置するため、よりカーブをつけて加工しなければいけません。ここを浅いカーブにしてしまうと、弦を張った時にナットから離れる部分で折れ曲がりが生じて弦に大きな負担がかかってしまいます。
それを考慮して加工すると、写真の様にかまぼこ形の断面ができるようになります。

ペグ側の加工後



外形が出来上がったら、溝掘りです。
ナットの中心線を取り、そこから左右それぞれ8.25mmの位置がE線G線の通り道となり、その幅16.5mm間を3等分(5.5mm)してA線D線の位置を決めます。

ここに彫刻刀と精密ヤスリを使って溝を彫るわけですが、弦によって太さが異なるので当然彫る溝の幅も異なってきます。これが狭すぎると抵抗が大きくなり、巻き線が傷んだり弦が切れる原因となりますし、広すぎると振動する弦に触れて異音を引き起こすこともあります。

また、溝の深さは0.25mmを基準に、振幅の大きいG線は溝を浅め(指板から遠め)に、E線は深めにします。とは言ってもナット単独では正確に加工するのは難しいので、ある程度まで削ったら残りは他が全部完成して最後に弦を張る時に調整した方がよさそうです。


溝を彫ったナット



というわけで、ナットをネックに接着します。
指板の接着の時は膠をたっぷり塗りましたが、ナットは簡単に取り外せる(添え木をしてハンマーで軽く叩くと外れる)ように膠は極めて少量しか使いません。膠を含ませた細筆でナットの接着する2面に軽く触れて、そのままネックの接着面に摺り合わせてクランプで固定します。


膠を塗ってクランプで固定




ついでにだいぶ前に削っておいたサドルも接着してしまいます。こちらはそうそう消耗するものでもないので膠がはみ出ない程度にしっかり塗って接着します。

サドルも同様に



2~3時間も経てば膠が乾いてしっかりと接着されているのでクランプを外しても大丈夫です。

接着後のナット

サドルも綺麗に着きました


完成まであと一息


つぎは駒の作成ですね。あと一息、頑張ります。







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